ずっと笑って過ごしている、そんな場所が
欲しかった。
うまく見つけられなくて、やがてそんな
ものはないように思えて。
探すのを辞めて、途方にくれた。
でもね。
いまなら、あのころのあたしに言うよ。
絵にも描けない餅は誰にも伝わらない、
下手でいいから描くんだ。
イメージ通りになるまで、描き続けるんだよ。
ね?
5歳のわたしは絵を辞めた。
二科展の授賞式、佳作の賞状を先生に渡して
言った。
せんせい、これあげるから、もうやめてもいい?
ビリジアンは、この世にはない色だ。
それを使わず田んぼを描け。
5歳のわたしは、入選することより
緑の田んぼを描きたかった。
絵を辞めて8年目。
前のように筆が走らなくなり、描くのを辞めた。
だから、書くことは辞めない。
失いたくないから、これだけは。
いつか。
わたしの言葉が誰かの『ひらけごま!』に
なるその日まで。
辞めてなんか、あげるもんか。
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